パリでこんなの、食べてます。

2015年末からパリ暮らし。パリで食べるのはフランス料理だけじゃない、あの国この国の味を求めて彷徨う、日々是、パリめしへの道。

夏、期間限定の屋台でPIZZA@セーヌ川

パリはもう、秋。今日はたまたまちょっと暑かったけれど、季節は完全に秋に移行してしまった、悲しい、でも事実。 去年初めてパリの秋を過ごして、ちょっと肌寒いけれど「いいねえパリの秋」と思っていたら、間に目を見張るようなスピードで過ぎていってしまい、唖然とした。で、一気に暗く長い冬が…なんてこと。ああ、あの長く暗い冬が来ると思うと、今からがっかり。楽しみといえば、冬の味覚だろうか。あと、コート姿のパリジャンがかっこいいことくらい。もう美味しいもの食べながら彼らを眺めるしか、冬をやり過ごす道はない。

フランス人が太陽を浴びたがるのは、冬の日照時間の少なさと言われている(それだけじゃないと思うけど)。だから夏の気配がするかしないかのうちから、ちょっとでも暖かければ外へゴー!カフェならテラス席がマスト(店内ガラガラ)、芝生でピクニックがマスト、なんならその辺の隙間でもOK! あーもう外ならどこでもいいわ!みたいなやる気と気迫を感じる夏のフランス人。それにこたえるように、セーヌ川には夏の間だけカフェやPIZZA屋が出現。 店の隣には見るからに「夏用です」のリクライニングチェアがずらり。ここにいるのは、お店のものをオーダーしている人だけではないと思う。私もちょっと座ってみたいなーと思っていたけれど、以前、寒くてガラガラだったときに見たら、チェアの後頭部が当たるあたりがどれも黒ずんでいて、ちょっと、いやかなり躊躇。ま、メトロやバスのイスもそうなんだけど、わかりやすく目に見えると人の心はすぐ冷める。

寒くなる前に行っておこう!とやってきた私とT君。 位置的には、アレクサンダー三世橋のあたり。盛夏の頃はここをジョギングする人、店で飲む人、川べりに車座になって盛り上がるグループ、観光客、犬などなどで、すんごい混みっぷりになる。日も長いし。その頃は席も簡単に取れなそうだったけれど、この時期は大丈夫。

にぎやかしの旗は、パリではおなじみ。これがあるだけで、浮かれ感3割増し。ただし、さっさと片づけないと寒い時期に悲壮感も3割増しになるので要注意のデコレーション。 カウンターでオーダー。相変わらずレジに集中しないスタッフ。なぜ彼らはおしゃべりを優先して、目の前の客をさばくことを二の次三の次にするのだろうか…と思っているのは、きっと日本人くらいだろうな。

T君にオーダーを頼んで、私は席を確保して待つ係。もちろん、こういう場所は長椅子長机。そういえば、ソウルにいた頃に相席というシステムが多かったので、パリで相席率が高くても全然気にならなかった。 こういう所では場所が狭くても仕方ないけれど、もともとパリの店内が狭すぎるので、机は個別なのに「まるで私たちグループですよね」といわんばかりに、テーブルもほぼ一体式。人の距離感が近いフランス、でも「人は人」のフランス。そう思えば、席が近かろうがテーブルが同じだろうが、どうでもいいってことね。

そして全然焼きあがらないピザ。ここは簡易式とはいえ窯があるので、焼き立てを食べられるのがウリ。ただ、焼いているのがおじさん1人。すごい効率の悪さ。あっちのカウンターにいる人が1人でもヘルプに来れば、どんどんはけるのに。この国の辞書に「効率」という言葉は無いといつも思う。ついでに「合理的」という言葉も無い気がする。 それでもおじさん、オーダーの紙を見て「5分待って」とT君に言っていたので、彼のペースで頑張っている様子。がんばれおじさん、長蛇の列だけど気にしないで。いや、ちょっとだけ気にして。このピザのカウンターの上に鐘があって、焼きあがるとその都度「カンカンカン!」とものすごい音で鳴らすおじさん。ほぼ全員が目の前に並んでいるのに、なぜわざわざ…しかも、誰のピザが焼きあがったのかは分からない、ますます謎深まる。でもこれが彼流。

先に来ちゃったビールをひとまず飲む。 でも、飲み進めるとピザとのマリアージュが楽しめないので、我慢する。飲み終わったらもう1本飲めばいいじゃん、と思うけれど、そのためにまたあちらのカウンターに並ばなくてはならないので、効率のよい日本人的には、そのロスは避けたい。

ようやくカンカンカン!という鐘のあとに、マルゲリータ登場。おじさん、おつかれ。いただくわ、この焼きたてアッツアツを。 オリーブオイルをたっぷりかける。もうピザカッターで切れ目が入っていた。これは食べやすい。

…かと思いきや、すばらしい比率で切れ目が入っていたことが判明。ほっそーい三角から、夏の大三角形ばりの三角まで、おじさんの慌ただしさが伝わってくる。肝心の味は、とにかく焼きたてなのでとても美味しい。こだわりとかは感じないけど、たぶんマルゲリータって本来、そういうことでいいと思う。 セーヌ川沿いに集まる人々は、ゆく夏をまだまだ追いかける気満々。ひたすら賑やか、テンション高め。夏のこういう、意味もなくイエーイ、みたいなのっていいと思う。秋や冬になるとなんとなくみんな文学的になって「そこにどんな意味が?」という空気になるもんね。

そして、夕飯を兼ねて行った私たちは、このピザ1枚をシェアでは足りず、帰りにもう1店イタリアンに寄ったということを付けたしておきます…

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