パリでこんなの、食べてます。

2015年末からパリ暮らし。パリで食べるのはフランス料理だけじゃない、あの国この国の味を求めて彷徨う、日々是、パリめしへの道。

この満足度の高さったら…@Le 975

以前、在パリのフードジャーナリストの方と話していたとき。今、コスパの高いパリのオススメのレストランは何処?と訊ねられると「どうしても日本人シェフのお店になっちゃうんですよねえ」。彼女曰く、そのくらい日本人シェフとそのレストランの評価は、パリで高いんだそうな。星の数がすべではないけれど、でもフランスで星を獲得しているシェフに日本人が多いということは、その答えにも通じているんだろうなと思う。

先日お邪魔した方のアパートの近くに、日本人がシェフの人気のお店があるというので、ちょうどお昼だったこともあってみんなで行ってみた。 「Le 975」 さりげない木目調の佇まいにイエローの窓枠が目を引く外観。いつも混みあっているそうで、この日はオープンの正午ジャストの1番客だったので、無事、入店。※写真は食後のもの

カウンターから続くスペースは細く奥にも。 私以外の3人が「ここ来たかったんだよねー」「わーうれしいなー」「こっちまでなかなか来る機会なかったしー」とテンションがかなり上がっている様子なので、私ったらとってもラッキーだったわ~とこっそり思う。そう、食は出会いが大切。

今朝、ものすごく久しぶりに体重を測ったら、見たことがない数が表示された…のは、体重計が壊れていたに違いない、と思ったのを、「壊れていた」と心の中で断定して さ、どれにしましょうかねーと声を弾ませる。で、前菜、メイン、デザート&カフェに決定。いいのいいの、だって体重計は壊れていたんだから。

前菜は九条ネギのポタージュ。盛り上がる日本人の私たち! 鮮やかなグリーンと黒トリュフの色合い、美しいだけでなくいい香り。パリに来てから黒トリュフを食する機会が、日本やソウルにいた頃とは比べ物にならないくらい増えた。これぞ食文化の片りん(たぶん)。そしてネギとトリュフがこんなに合うとは、もちろん知らなかった。すごく美味しい、もう1杯おかわりしたいくらいだったわ。だって体重計は…(以下同文)。

この日のメインは、鶏肉のグリルやブーダンの盛り合わせ。ブーダンは豚の血と脂を使った腸詰で、「いつもはブーダン苦手で」といっていた友人達だったけれど 美味しい!とぱくぱく。

ソースはまろやかなカレー風味(きっと厳密にはカレーじゃない香辛料のはず)で、お肉とよく合う。 付け合わせのカンパーニュがこれまた美味しい。3種類の肉料理がバランスよくお皿に並ぶ、ランチにうれしい一皿だった。

ところで私は5年弱のソウル生活で、「スンデ」という、豚の血ともち米、香味野菜などの腸詰も平気で食べていたので、ブーダンは全然平気。むしろ、スンデがあまりに、なんというか、食指をそそらない色と形状をしていたので、ああいうものに結構鍛えられた気がする。経験に無駄なことなし。ありがとうスンデ、今食べたいとは全然思わないけど。

デザートはバナナとキャラメルのムース。ビジュアルからもう期待値が上がりまくり。 もう、上のふわふわを食べたところから「あーー美味しい」と一同、ため息。下の方にキャラメルクリームが潜んでいて、すくうほど、口に運ぶほど、うーん、幸せ。この繊細な幾重にも重なる味の層に、スイーツ愛を感じる…。〆にコーヒーで完璧。これで16ユーロとは。

どうしよう、すごくおいしいお店に出会ってしまった。これは混みあうわけだわ。12時半には満席になっていたのも納得。うちの近くに欲しい、あればしょっちゅう行くのに。次はもう一段階上のランチのコースにしてみるか、いや、ディナーにするべきか。ありがたい、うれしい悩みが、また1つ。

「Le 975」 25 rue de Guy-Moquet 75017,Paris

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おかわりまでたどり着けるか?餃子食べ放題@Ji Bai He

フランスはパンが、生ハムが、チーズが、ワインが美味しい…けれど、私はそれだけでは暮らせない。パリで暮らしてから分かったけれど、食に関しては思っていた以上にアジア飯派だった。だから家では日本と同じく、和洋折衷の食生活。ときどき手抜きで「ワインとチーズと何か適当なつまみ」みたいな「フランス簡単めし」も登場するけれど、やはりアジア飯は欠かせない。ちなみに、結婚してずーっとヨーロッパで暮らしている友人の中には「お米がなくても全然平気」と言っている人もいるので、それぞれなんだと思う。

そんなときにありがたいのが「中華料理」の存在。どこの国に行っても中華料理はあるし、お店にもよるけれど、日本食や韓国料理に比べればリーズナボー、つまり、しっかりと量があってコスパが高いお店が多い。

さて、そんな中で最近のヒットは「10個3ユーロ」の餃子@Belleville。さすが、中華がひしめきあうエリア。それに味を占めたわけではないけれど、餃子っていいよね、ビールに合うし、エンドレスだよね、なんて友人と話していたら「餃子食べ放題の店があるらしいから行ってみよう」ということに。餃子以外も食べたいし食べ手が欲しいよね、で夫・T君と友人Nちゃんと3人で餃子パラダイスへ行ってみた。

「Ji Bai He」は15区のPort de Versaillesの近く。坂の上にあるので、歩きながら「これはお腹を空かせてこいよっていうメッセージに違いない」と思ってみたりする。 ちなみにNちゃんは貸しチャリのベリブでやって来たので、ついたときの腹ペコ具合がハンパなかった。

うっかり一番客。時間が遅くなって来たらやはり混みだした。お持ち帰りの人も多い。メニューを見たら餃子は1皿10個で5ユーロ。食べ放題は12ユーロ。単純計算で、一人24個食べないと元がとれないということになる。どうする?と2人を見たけれど、ものすごいやる気満々。だよね、そうだよね、だって食べ放題を目当てに来たんだもん。よし、食べるぞー!

青島ビールで乾杯して、スタート。そう、餃子食べ放題にはビール。いや、食べ放題じゃなくても餃子にはビール。 餃子のみでは何かと不便なので、じゃがいもの千切りの冷菜、コリアンダー効きまくりで私は食べられなかった。なんでフランスでは中華だろうが和食(風)だろうが、コリアンダーなんだろう。日本の異様なパクチーブームにも疑問を呈している私には若干、辛い。これが全部シソだったらどんなに幸せだろう~。

蒸し鶏もオーダー。これも中華の定番。 f:id:kanakanamm:20170919022041j:plain f:id:kanakanamm:20170919022130j:plain キャベツ炒めもやって来て、ある意味準備万端。ちょこちょこと食べ始めて、胃袋準備体操。どれも安定の味(じゃがいもの冷菜もきっと美味しかったんだと思う)。でもあくまで主役はこれじゃないの、餃子なの。

きたっ!焼き餃子。おぉぉ…と一同、とりあえず感嘆の声を出す。 f:id:kanakanamm:20170919022031j:plain 本域の餃子なので、皮がもちもちしている分、こんもりして見える。数えたら24個あったので、最初はお値段分が登場するらしい。

焼き餃子と水餃子の両方を頼んだので、次に水餃子がどどっとやって来た f:id:kanakanamm:20170919022114j:plain 水餃子は2皿、合わせて48個。すごいボリューム、見ただけでお腹いっぱ…いやいや、じっくりいただこうじゃないの。

メニューを見たら、餃子の具の種類はいろいろあるらしい。でも、食べ放題の具は選べない。食べてみた結果、具は2種類と判明。1つはこれまたコリアンダー入り肉餃子。もう1つも肉餃子でこれにはコーンが入っていて、少し味が違ったけれど、その違いがよくわからず。

もちもち皮の餃子は焼き餃子も水餃子も美味しいのだけれど、最初に一気に来てしまうので、特に水餃子は時間が経つにつれてちょっと固くなってきてしまう。何度「チンしてもらえますか?」と言おうとしたことか。出来立てをガーっと行きたかったのに、そのスピード感がないことを呪う私たち。美味しい、でもどんどん食べられない、この皮が薄かったらいけたのに…アツアツならいけたのに…と、大人は言い訳が増えてくる(涙)。

結局、永遠の体育会系T君をもってしてもおかわりまで到達できず、3個残ってしまった、悔しい、ものすごく悔しい。周りを見たら、殆どの人が食べ放題を頼んでいて、1皿は平らげていたけれど、お代わりする人はいなかったかも。

普通に10個ずつオーダーすればアツアツがくるし、次回は食べ放題じゃなくても、、でも、倒れそうなほどお腹が空いていて、副菜がなければいけるのかもしれない。いや、そういうことじゃないか。でも食べ放題ってそういう精神よね、と言いながら餃子パラダイス1回目、一応「引き分け、ちょっと負け」で終了。

「Ji Bai He」 108 rue Olivier de Serres,75015 Paris

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ポップなタパスバーで気楽にごはん「Nomad's」@プラスサントノーレ

パリへ引越して少し経った頃に、日本にいる父と電話していたら「フランスっていうからには、フランス料理だよな。やっぱり美味い?」と訊かれて「フランス料理…」と言葉に詰まってしまったことが。きっとみんなが頭に思い浮かべるのは、前菜からスタート、デザートでフィニッシュ!というコース料理なのだろうし、私もイメージはそれだったけど、実際にそういうのを食べるのはときどき。そしてフルコースのディナーに至っては、年に数回、、いや、ないな。1回か2回ってところ。

じゃ、何処に行くのかといえば「ビストロ」と名の付くところで、多いパターンが「前菜+メイン」または「メイン+デザート」、お腹に余裕があれば3本立て。本域のフルコースを食べると、動けなくなるくらいお腹いっぱいになってしまうので、滅多にいただくことはない。

で、改めて「フランス料理ってなに?」と思ったりする。大好物のオニオングラタンスープだって、クロックムッシュだって、フランスの料理だから「フランス料理」に入るんじゃなかろうか。それとも、鴨とかトリュフとかフォアグラじゃないと、認定してもらえないのだろうか(そんなわけはないか)。とりあえず、正解はわからない(調べてもいない)。

うちの窓から周りのカフェのテラスの様子を見ると(今も見ながら書いている)、カフェランチなので、まさに鴨の焼いたのとか、山盛りサラダとか、ステーキとか食べている。ちなみに最近はハンバーガーもすごく増えていて、うちの周辺でもメニューに「ハンバーガー」が堂々と並ぶようになった。どうしたフランス人、アメリカ嫌いじゃなかったのか?そういえば2年前には少なかったスタバも、ずいぶんと増えたような気がする。でもばすきんろびんす(31)は来ない、あのポップな感じがNGなんだろうか… 

さて、普段の外食で、夜によく利用するのが「タパスバー」を謳っているお店。カジュアルな雰囲気で、フランスの「一人一皿方式」ではなく、みんなでシェアして食べながら飲める、日本人にはとっても向いているスタイル。 先日、ソウルから日本人の友人夫妻がパリへ遊びに来ていたので、プラスサントノーレにある「Nomad's」へ。

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夏場は混みあうテラス席、ときどきワンコの姿も

実はいつも行くお気に入りのお店が夏休み中だったので、T君オススメのこちらへ予定変更。 友人はオペラエリアに宿泊しているのでアクセス的にもこちらが正解だった。お店の女性スタッフが、私たちの会話の端々で日本人と分かったらしく、「私は日本が好きだ」と言ってくれた。こういうことはたまにあって、そのたびに行く先々で、日本人の代表としてきちんとマナーを守らなくてはと思う。

このお店、パリのお店にしては店内にゆとりがあって、フレンチポップなデザインがとってもかわいい。女子ウケも良さそう。店内奥はバーカウンターがあって、また違った雰囲気なのも◎。 看板犬のラブが2匹、というかあまりに大きいので2頭といいたいくらい。大人しくて、距離感とりながら人懐こさも忘れない、とってもかわいい彼ら。ときどきお店から結構離れた所までうろうろしているけれど、周囲にもおなじみさんの貫禄。

ワインの写真を撮っていなかったので、友人のFBより拝借。

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白も赤もとても美味しかった

当然のことながら、ソウルよりずーっと安くワインが飲めるので、夫妻喜ぶ。しかし、なんでもないごく普通の韓国料理がこちらでは強気の値段なんだよ!と私。じゃあどっちがいいかと言われれば…うむ。

アスパラがたくさん入ったサラダ、上にはこんがり香ばしく焼いたフェタチーズ。 もともと野菜もチーズも美味しい国なので、こういったものはあまりハズレとかない。これももちろん、美味しかった。

ワインと相性が良いといえば、こういったパテやリエット。一気にたくさん食べるものではないので、飲みながらつまむ、というペースに合う。改めて、よく出来ていると思う。 ソウルでもこういった料理を出すお店はできて来ているけれど、5年近く住んだ印象では「頑張りすぎてオシャレ一周して二周目になってしまった」みたいな雰囲気と、味が安定しないというのが難点(というと店全否定になっちゃうかしら)。私がソウルを出てから2年半過ぎたから、今はどうなのかわからないけれど。

白身魚のグリエ。フランス人はグリーンピース大好きなので、ここにもどっさり。数少ない嫌いなものがグリーンピースという私にはとても厳しい…f:id:kanakanamm:20170907025909j:plain でも必ず食べてくれる人がいるので、気にしない。見た目キレイだし。野菜もりもりで、友人大喜び。日本ではおなじみでも、外国ではあまり食べる機会がない(お店や市場にも並ばない)食材があるので、「食べられるときに美味しくいただく!」という闘志に、知らない間に火が付く。

肉のグリエ、添えられたポテトも美味。フランスの肉は、大部分が血抜きしていないので、部位や焼き方で味に大きく差が出ているような気がする(日本人としては)。 f:id:kanakanamm:20170907025921j:plain これは肉の柔らかさ、味わい共にベストだった。友人も一緒なので、当たりで良かった。で、ワインも進む。肉と赤ワインの最強コンビ。

「カフェ グルモン」(食いしん坊のカフェ)はとーっても便利なメニュー。いろんなデザートが少しずつ、コーヒーとセットになっている。 f:id:kanakanamm:20170907025933j:plain 初めて知ったとき、なんていいアイディアなんだろう!と思った。今回は、これを1つ、カフェを3つオーダーして、スイーツもシェア。

こういったスタイルは気楽に食べて飲めるので、普段使いにも欠かせない存在。友達が旅行に来ると、一回はこのテのお店へ行くようにしている。夏休みも終わったので、気になっている他のタパスバーにも行ってみなくては。

「Nomad's」 12-14 rue du Marché Saint-Honoré Paris 1er http://nomadsparis.fr/

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夏、期間限定の屋台でPIZZA@セーヌ川

パリはもう、秋。今日はたまたまちょっと暑かったけれど、季節は完全に秋に移行してしまった、悲しい、でも事実。 去年初めてパリの秋を過ごして、ちょっと肌寒いけれど「いいねえパリの秋」と思っていたら、間に目を見張るようなスピードで過ぎていってしまい、唖然とした。で、一気に暗く長い冬が…なんてこと。ああ、あの長く暗い冬が来ると思うと、今からがっかり。楽しみといえば、冬の味覚だろうか。あと、コート姿のパリジャンがかっこいいことくらい。もう美味しいもの食べながら彼らを眺めるしか、冬をやり過ごす道はない。

フランス人が太陽を浴びたがるのは、冬の日照時間の少なさと言われている(それだけじゃないと思うけど)。だから夏の気配がするかしないかのうちから、ちょっとでも暖かければ外へゴー!カフェならテラス席がマスト(店内ガラガラ)、芝生でピクニックがマスト、なんならその辺の隙間でもOK! あーもう外ならどこでもいいわ!みたいなやる気と気迫を感じる夏のフランス人。それにこたえるように、セーヌ川には夏の間だけカフェやPIZZA屋が出現。 店の隣には見るからに「夏用です」のリクライニングチェアがずらり。ここにいるのは、お店のものをオーダーしている人だけではないと思う。私もちょっと座ってみたいなーと思っていたけれど、以前、寒くてガラガラだったときに見たら、チェアの後頭部が当たるあたりがどれも黒ずんでいて、ちょっと、いやかなり躊躇。ま、メトロやバスのイスもそうなんだけど、わかりやすく目に見えると人の心はすぐ冷める。

寒くなる前に行っておこう!とやってきた私とT君。 位置的には、アレクサンダー三世橋のあたり。盛夏の頃はここをジョギングする人、店で飲む人、川べりに車座になって盛り上がるグループ、観光客、犬などなどで、すんごい混みっぷりになる。日も長いし。その頃は席も簡単に取れなそうだったけれど、この時期は大丈夫。

にぎやかしの旗は、パリではおなじみ。これがあるだけで、浮かれ感3割増し。ただし、さっさと片づけないと寒い時期に悲壮感も3割増しになるので要注意のデコレーション。 カウンターでオーダー。相変わらずレジに集中しないスタッフ。なぜ彼らはおしゃべりを優先して、目の前の客をさばくことを二の次三の次にするのだろうか…と思っているのは、きっと日本人くらいだろうな。

T君にオーダーを頼んで、私は席を確保して待つ係。もちろん、こういう場所は長椅子長机。そういえば、ソウルにいた頃に相席というシステムが多かったので、パリで相席率が高くても全然気にならなかった。 こういう所では場所が狭くても仕方ないけれど、もともとパリの店内が狭すぎるので、机は個別なのに「まるで私たちグループですよね」といわんばかりに、テーブルもほぼ一体式。人の距離感が近いフランス、でも「人は人」のフランス。そう思えば、席が近かろうがテーブルが同じだろうが、どうでもいいってことね。

そして全然焼きあがらないピザ。ここは簡易式とはいえ窯があるので、焼き立てを食べられるのがウリ。ただ、焼いているのがおじさん1人。すごい効率の悪さ。あっちのカウンターにいる人が1人でもヘルプに来れば、どんどんはけるのに。この国の辞書に「効率」という言葉は無いといつも思う。ついでに「合理的」という言葉も無い気がする。 それでもおじさん、オーダーの紙を見て「5分待って」とT君に言っていたので、彼のペースで頑張っている様子。がんばれおじさん、長蛇の列だけど気にしないで。いや、ちょっとだけ気にして。このピザのカウンターの上に鐘があって、焼きあがるとその都度「カンカンカン!」とものすごい音で鳴らすおじさん。ほぼ全員が目の前に並んでいるのに、なぜわざわざ…しかも、誰のピザが焼きあがったのかは分からない、ますます謎深まる。でもこれが彼流。

先に来ちゃったビールをひとまず飲む。 でも、飲み進めるとピザとのマリアージュが楽しめないので、我慢する。飲み終わったらもう1本飲めばいいじゃん、と思うけれど、そのためにまたあちらのカウンターに並ばなくてはならないので、効率のよい日本人的には、そのロスは避けたい。

ようやくカンカンカン!という鐘のあとに、マルゲリータ登場。おじさん、おつかれ。いただくわ、この焼きたてアッツアツを。 オリーブオイルをたっぷりかける。もうピザカッターで切れ目が入っていた。これは食べやすい。

…かと思いきや、すばらしい比率で切れ目が入っていたことが判明。ほっそーい三角から、夏の大三角形ばりの三角まで、おじさんの慌ただしさが伝わってくる。肝心の味は、とにかく焼きたてなのでとても美味しい。こだわりとかは感じないけど、たぶんマルゲリータって本来、そういうことでいいと思う。 セーヌ川沿いに集まる人々は、ゆく夏をまだまだ追いかける気満々。ひたすら賑やか、テンション高め。夏のこういう、意味もなくイエーイ、みたいなのっていいと思う。秋や冬になるとなんとなくみんな文学的になって「そこにどんな意味が?」という空気になるもんね。

そして、夕飯を兼ねて行った私たちは、このピザ1枚をシェアでは足りず、帰りにもう1店イタリアンに寄ったということを付けたしておきます…

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いつものマルシェの食材、いつものワインの、意識高い系。

こちらのブログ、ずっと止まっていたので、だいぶ前の写真が入れたままだった…

パリ生活のブログにも書いていたけれど、6月に料理家・平山由香先生の「お味噌汁ワークショップ」があって、私はレポート記事執筆以外に企画、コーディネート 、アシスタントも担当。先生とお仕事をして10年、まさかアシさんをやることになるとは…そして私に料理家のアシさんは無理だと実感(そりゃそうだ)。先生の連載を担当しているときからうっすら気づいていたのだけど、料理が好きなだけではアシスタントはつとまらない。気が利くとか、ここは出てここは引くとか、センスとか、おおらかな心とか、とにかくいろんなものが、それもさりげなく備わっていないと助手はできない…と私なりの分析。

私の仕事はリサーチして取材して原稿を書くことだと思って来たけれど、フリーになって海外に住むといろんなことがある。人生、何があるか分からない…でも、このトシになっても新しいことを任せていただけることに感謝しよう、そうしよう。

みなさんのおかげで、ワークショップ(以下、WS)自体は成功&ご好評をいただき、ほっとひと安心(この様子はもうすぐNHKのテキストにあがる予定)。先生はウチに滞在したので、食に関してもとても濃厚な1週間を過ごせてありがたかった。まずは、その滞在中のひとコマ。

WSで使う食材の調達は、身近なスーパーなども利用したけれど、やはり旬の素材と手軽さを併せ持つマルシェがメイン。媒体掲載のために早朝から通訳Cさん&カメラマンMさんと。 f:id:kanakanamm:20170902233708j:plain ここはトマト専門店。以前行った時には子供たち(兄弟)がお店を手伝っていて、とっても微笑ましかった。この日は平日だったので学校だったのかも。お店の人に「どこの国から?中国?」と訊かれて「日本です」と答えたら態度が急変。「日本人だったのか!それは失礼した!」私から見ていても特に失礼な態度をされた感じはしなかったけれど、彼らの意識を垣間見る、うーん、嬉しいような、微妙なような…

私は取材兼荷物持ち担当なので、できるだけ写り込まないように背後に回るか、カメラマン氏の傍に控えて、合間に記録用ショットを撮る。この日は35度くらいまで気温があがり、朝から強い陽射しで汗だく。 食材(素材)について、先生から次々出てくる細かい質問は、食が専門ではなくても興味深い。特に、通訳をお願いしたCさんはフードジャーナリストなので、パリ食に関して相当造詣が深く、今回の通訳にぴったりだった。取材の合間、カフェで休憩中にパティスリーやレストランの情報交換。もちろん私は質問&聴くのみ、でも食べることはとても好きなので、見の乗り出し方だけはいっちょまえ、スミマセン。

買って来たものをいったん、並べる。 WSで使う食材、冷蔵庫へ入れておくもの、水に入れておくものなど、大まかに分類。

この日は午後から仕込みがあったので、マルシェで買って来たものでランチ。先生が手早く仕上げてくれた一皿。手早い、素早いのひと言。そして盛り付けって大事よねーと、心の中で叫んでみる。 イチヂク、スライスしてもらったジャンボンブラン、旬だったアメリカンチェリー、ミニトマト、ミントの束から2~3枚をあしらいに。近所のパン屋のバゲット。ブッラータには先生持参のスペシャルなオリーブオイルと、うちで使っているカマルグの塩をかけていただく。

このキラキラ輝くような、素敵なプレートはいったい…?手が込んでいるわけではないのに、このご馳走感とオシャレ感ってどういうこと? なんかもう、日々の自分の行いというか、ライフスタイルそのものを見直さなければならないような気がした…

さて、こちらはご近所友Nちゃんちのバルコニーにて。私たちはよく「家飲み」をするので、それをバルコニーでやってみるとこんなふうになる。 めざせオシャレ感、近づこう意識高い系、をこの夏の合言葉にしていたにもかかわらず、安いドラフトビールと美味しいタパスを求めて西へ東へ走る私たち。Nちゃん、イケてる感を上げるためにテーブルにあしらったグリーンがローズマリーだったことを反省していた。いいのいいの、グリーンならなんでも、と私。

このときにNちゃんが作ってくれたカクテル「ロゼパン」がすごく美味しかった上に、色も綺麗で盛り上がる。 ワインのロゼと、パンプルムス(グレープフルーツ)ジュースを1:1で。簡単なのに美味しいという最高の1杯。柑橘系はやはり夏には欠かせない。ちなみにこのロゼパンを教えてあげた在サンフランシスコの友人は、ハマってしまい、この夏、毎晩飲んでいたそうな。 一緒に写っている焦げパンみたいなものは、パリのスーパーに箱入りでよく売っているミニトースト。この時のトーストはとっても美味しかったのだけど、どこのものか忘れてしまったので、同じスーパーへまた買いに行ってみよう。

キッチン付きのホテルやアパルトマンに滞在する旅行者って、こういうふうに、フランスならではのものを買ってきて、ちょっとだけ手を入れて食事するのが楽しいんだそうで、確かに、暮らしていても、たまにはいいかもって思った。明後日の我が家での家飲み(with Nちゃん)では、新たなカクテルを作る予定。現在、LINEでカクテル用シロップの情報交換、大いに盛り上がり中。しかしメインディッシュは冷やし中華なのだけど…。

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出汁とうどんに癒されるニッポン人「Sanukiya」さぬき家@1区

T君は関西人なので、うどんの出汁には一過言あるらしい。いわゆる「関西風出汁」ってやつ。色は薄いが風味は濃い目、私も好きだけど実は塩分も濃いらしい。 しかし、なぜ関西人はあんなに「関西風出汁」にこだわるのか?関東風の真っ黒い出汁を力いっぱい否定するのはなぜだろう?私は父が京都、母が東京生まれなので、 両方の出汁の良さが理解できていると自負しているけれど、はっきりいって正解なんてなくない?結局、味は好み。三つ子の魂が百までってだけで。

方や、私は信州松本出身なので、蕎麦には一過言ある。子供の頃からラーメンと同じくらい、「気軽に食べるもの=蕎麦」で育ったので、 食べ方とか注文の仕方とかこだわる蕎麦屋の意味が分からない。地元にもそういう店があって、強制的にお酒とセットというメニューしかないらしい(あ、どこかバレるかしら、まいっか)。 しかも行ってみたら「予約なしで来るなんて」と、そこのおかみに足蹴にされて、蕎麦湯ぶっかけてやろうかと思うくらいムカついた。いつから蕎麦はこんなことになっちゃったんだろう…

外国生活でうどんと蕎麦の存在は、ほっと心が和む素晴らしいメニューだと思う。日本から買ってきた各種麺を茹でて、創味のつゆでいただく幸せったら… ソウルでは私が食べたいと思う蕎麦屋は残念ながらなかったけれど、うどん心は丸亀製麺が満たしてくれた。丸亀製麺がソウルに上陸したときには、狂喜乱舞したものだ。 日本食にしては値段も手ごろだったのも大きいと思う。

パリにもうどん屋はいくつかあるけれど、とにかく高い。なんでこんなに高いんだろう? もちろん「日本食」という外来ものだから仕方ないんだろうけれど、 農業大国のフランスで、うどん用の粉ってどうにかならないんだろうか。いや、高いのは結局人件費?いやいや、やはり例の出汁問題?

パリ生活2年目でも、まだこの物価高に納得いかない日本人主婦の私だけど、たまにはうどんも外で食べたい。 「さぬき家」はT君が大好きな「関西風出汁」。出汁の「うまみ」は日本人の魂だよなあ~と思いながら、ずずっとすする。 セットメニューでからあげと卵焼き…豊かな気分。お得感を求めて、ついセットメニューにしてしまうのが、人間のサガというもの。ところで、アジア人はまだしも、フランス人を含む欧米・欧州の人々は、うどんのどのあたりに魅力を感じているのか? そういえばフランスには、そば粉を原料としたガレットがあるくらいだから、蕎麦だっていけるんじゃないのか? 蕎麦を置いている店もあるけど、どうしても私が試したい気持ちになれないのはなぜか?!

あれ、私もかなりい蕎麦へのこだりが強い?関西人のことはいえない…

「Sanukiya」さぬき家 9 rue d'Argenteuil 75001 Paris

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すべてがスペシャルな「L'Espadon」@Ritz Paris

気づいたら一か月半も放置していた、こっちのブログ。あっちのブログは日々更新していたのだけれど、こっちがおろそかになっていた、ヤバい、マズい。その間にも黙々と、私はパリで食べていたわけで。写真がたまっていっている…というわけで8月中に更新をかけることにした。

7月の半ばは、結婚記念日。2010年6月にソウルの駐在生活が始まったので、そこから5回はソウルで祝ったんだった。我が家の結婚生活の歴史は7年以上だけど。

2015年の本帰国中は貴重な東京での祝い。ああ、ついに日本で祝えるー!と、2人ともすごいテンション、鼻息も荒かった。でも、その頃にはパリ行きが決定していたので「ザ・ニッポンの食」を求めてすき焼きを食べに行ったんだったわ…懐かしい。(その頃の、ほぼ東京食ブログ状態の「23区の女」はコチラ→

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とにかくそんなこんなで、今年。休暇が全然取れないほど忙しい夫、T君。年に1度の結婚記念日くらい贅沢してもいいじゃないかいいじゃないか、と私たちの足元でいいじゃないか運動が起きたので(たぶん気のせい)、贅を極めることにした。

オフショルダーのドレスとか着た淑女がいたりするレストラン、だってそこはRitz Parisの「L'Espadon」

なんといっても空間がすごい。リニューアル前を知らないけれど、とりあえず「お気軽にどうぞ」感はない。少なくとも、ディナーにはそれはないと思う。 もちろん、祝いなのでシャンパンで乾杯。その後はソムリエおすすめのワインなど。こういうときは男子にエスコートしていただくのが女子たるもの、だからT君におまかせ…っていうか、私はよくわからない。だからニコニコ、食べて飲んでニコニコ。できる、それなら私にもできる。

そして私に詳細は語れないので、写真の「画力」に頼る。まず前菜。 こんなに素敵で美味しいひと口サイズ、食べたことない。目でも楽しむという意味をかみしめつつ、いただく。

とにかくいちいち、手が込んでいる。 あっつあつの焼きたてパンを切り分けてくれるところ。わざわざありがとう、と心の中でメルシー連発。 焼きたてなのを差っ引いても美味しすぎるパン。これでお腹が膨れてしまったら、一生後悔してしまう、でも食べる手が止まらない。

これ、シェフ(きっとパン担当)が釜から取り出したまんま登場したので 普通にびっくりした。だってあんな長いものにあっちっちなパンをのせて、奥から登場するんだから。私なら絶対につるっと落とす。

そしてもうここからは「画力」のみでお届け。まず先に、満足できないお皿は一つもなかった、と書いておく。そして、私は食材に「カニ」と「アボカド」を選んだので、「カニ」と「アボカド」を使ったものが並ぶ。途中からワインが回ってきたのでピントが合っていないかもしれないけれど、それが臨場感というもの。 最後の完全にピンボケなのは、サクランボまんまを使ったデザートで、美しすぎて飾っておきたいほど。当然、とびきり美味しかったのだけど、この頃には満腹の頂から、さらにつま先立ちくらいお腹いっぱいで、このときほど胃を拡張させたい…と思ったことはなかった。

そう、ボリュームがものすごいことを実感。本当のフルコースってこんななんだきっと。そしてスタッフの身のこなしがハンパない。滞りなくすべてが超スムーズに進むよう、例えばデザートに3人がかりでスタッフがやって来て、流れるようにお皿をさげたりサーブしたりしていく。

かつてシャネルがリッツのスイートルームで暮らしていたとき、彼女はここで食事をしたりしていたのかしら。いや、多忙を極めたシャネルだから、きっと部屋でゆっくり食事したかもな、っていうか、そこまでシャネルに精通していないけど、今でも「シャネルルーム」と呼ばれるスイートと、カンボン通りの出入り口から目の前にシャネル本店があることに、歴史を感じずにはいられない。

いつか本帰国するときに、またここで祝えたらいいなあ…

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